犯罪捜査モノだけど、いつもの爽快感は健在/池井戸潤「株価暴落」

「株価暴落」表紙

「株価暴落」表紙

半沢直樹シリーズでハマり、暇を見つけては読んでいる池井戸 潤氏の作品。今回は株価暴落という作品を購入してみました。

株価暴落という言葉を聞くと、景気、テロ事件、企業の不祥事や業績の下方修正…と良くないイメージが湧きますよね。実際に、これらがきっかけとなって暴落し、取り返しのつかなくなった企業も多々あります。

恐ろしいのは、こういうイメージが少しでも世の中に持たれると下落は一瞬なのに回復は相当に困難であること。具体的な例だと西武鉄道が2004年に上場を廃止。今まさに再上場を狙っているようですが、そこまでに10年かかっています。

1957年から東証一部に上場していたが、2004年に発覚した証券取引法違反事件により同年12月に上場廃止処分となり、その後のコクド・西武鉄道・プリンスホテル間での事業領域の再構築と不採算物件の売却が行われるなど、大きな転換期となった(後述)。

西武鉄道(Wikipedia)より

本作の舞台は銀行で、企業へとお金を貸す(融資する)立場。融資先の不祥事による影響は、そのまま貸した側にも跳ね返ってきて場合によっては損失を計上することにもなりかねない。

その状況下でどれだけ全うな判断ができるか。銀行といった巨大組織の中で戦いながらポリシーを曲げずに企業と向き合うことは簡単ではないと思います。実際はポリシーを曲げてしまうことがほとんどでしょう。

だかこそ、今回のように行内の利害関係・企業の不祥事・事件全てが入り交じった場合でも、ポリシーを全うしようとする主人公に感情移入してしまうのかなと思いました。まさに、半沢直樹シリーズがヒットした理由(と言われていること)と同じですね。

そういうことを後から色々と考えてみましたが、本作自体はかなり早いペースで物語が進み、あっという間に読み終えることができると思います。はじめて池井戸潤のシリーズを読む人にもおすすめなので、ぜひ読んで見てください。

この記事をシェアする