「How Google Works」には会社づくりのエッセンスが詰まっている

Googleの働き方といえば自由でクリエイティブというイメージが真っ先に浮かびます。エンジニアにとって最高の職場として、各種メディアでもよく紹介されていますが、実際に本として書かれた本はあまり見たことはありませんでした。そういう意味でこの本はかなり新鮮で、グイグイと最後まで読むことができました。

少し前に発売された「第五の権力」もかなりGoogleについて深堀りしてありましたが、今作は元CEOが書いたものということで、アプローチが全く違っています。文中で「スマートクリエイティブ」という言葉が頻繁に出てきますが、これこそGoogleが「人」を最も大切にしているということを何よりも表しているのしょう。

Googleで働く人のようにパフォーマンスを発揮するにはどうしたら良いかと考えるのも良いですが、本作には「最高の仲間」を集めるためのアプローチがたくさん書かれているので、そこを思い切ってマネてみる方が面白いと思います。

いくつかポイントをまとめてみたいと思います。

Googleを動かす「スマート・クリエイティブ」

聞き慣れない言葉ですよね。この「スマート・クリエイティブ」とは、以下の特徴を持った人のことを指しています。

  • 専門知識が高く、コンセプトからプロトタイプまで作る実行力を持っている。
  • 分析力とビジネス感覚も優れている。
  • 競争力、好奇心も旺盛でユーザーのこともわかっている。
  • リスクを厭わずあらゆる可能性に対し自発的にチャレンジする。
  • ユーモアがあって話が上手い。

つまりは超優秀な人ということ。もちろん全てを兼ね備えた人はなかなかいませんが、必ず持っておかなくてはならない特徴があります。

  • 努力を惜しまず、常識的なやり方に疑問を持って新しいやり方を試している。

こういう人を見つけて最高のパフォーマンスを発揮するために会社ができることはあくまで環境づくり。本来スマート・クリエイティブと呼ばれる人は支持されて動くタイプではないので、知的好奇心を満たすことができる最高の環境を作ることが、最高のプロダクトに繋がってくるのでしょう。

このアプローチは日本の企業でも見習うべきで、どんなに新しいイケイケなベンチャー企業でも実現できているところは少ないのではないでしょうか。

会社で最も大切なのは「文化」

Googleの文化は「エンドユーザーの役に立つ」「邪悪にならない」といったシンプルでわかりやすい言葉に落とし込まれています。従業員全員がこの言葉を理解し、信じているからこそブレないプロダクト作りに邁進できるのでしょう。いざという時の判断軸がブレないというのは、会社がどういう規模になろうとも大切なことだと思いますね。

また、皆が文化を理解していると組織にも現れてきます。できるだけヒエラルキーを作らず、少人数のチームにしてそのマネジャーには多くの責任を委譲する。そうすることでより高いパフォーマンスを発揮し、ワークライフバランスも自分に最も適したもの見つけ出そうとするのです。

この中で一つ、日本の企業でもすぐ真似すれば良いのになと思ったものを紹介します。自分の仕事が必要不可欠であるとアピールするかのよう仕事を抱え込む人には、休暇を取らせる。そして別の人を代役としてアサインする。そうすることで、当人はリフレッシュして仕事への意欲を取り戻し、代役の人は自信がつくという一石二鳥なアプローチなのです。これは即効性がありそうですよね。

人の採用には徹底的にこだわる

Googleでは、採用する側の能力も応募者の質も重要と考えています。応募者に対しては「縁故採用はNG」「質を落とした採用はしない」といった厳密な基準をもうけているのはよくある話。

採用する側にも責任を持たせているのが、他の会社にはない仕組みだと思いました。面接した回数やフィードバックシートを返すまでの時間が本人の評価対象に含まれ、そういう時間をきちんと割く人も評価されるというのは、普通の会社ではありえないのではないでしょうか。

よく「人材は宝」という言葉はよく耳にしますが、本当に人材を貴重だと考えるのであればこういうアプローチになっていくのは当たり前ですよね。しかし実際は、本気で良い人を採用した人ではなく商品を多く売った人が評価されるというのがオチですね。この観点は人の採用時に使うだけでなく、転職者が会社を選ぶ時の評価軸にすると良いのではないでしょうか。

まとめ

Googleといえば技術やワーキングスタイルに着目されていますが、それらはどの会社よりも徹底的に文化や環境づくり、人の採用にこだわった結果生まれてきたものだということがよく分かります。

なので、エンジニアよりむしろ会社経営者や人事担当者の人がこれからの会社・組織づくりに役立てるための本として使うのが良いのではないでしょうか。こういう文化をもった会社が、日本にもたくさん生まれてくると楽しいでしょうね。ワクワクします。