岡山の農園菓子工房「ホトトギス」のお菓子が全てグルテンフリーになった理由

先日、秋葉原から御徒町に向かう途中にある「日本百貨店」に立ち寄ったのですが、ここに出店していた「ホトトギス」というお店がとても印象的だったのでご紹介。

http://www.hototogisubakery.com/

http://www.hototogisubakery.com/

岡山県の山奥にあるこのお店、日本人の旦那さんとアメリカ人の奥さんの2人で切り盛りしています。完全自家栽培(米、鶏、黒豆、野菜)という点もここの特徴なのですが、最初はどうしてもこの組み合わせが気になっちゃいますよね。

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何、この経歴!

秋葉原の店舗で旦那さんと話をしてみましたが、この破天荒な人生を感じさせない穏やかな人でした。やっぱり、こういう自然あふれる場所に住んで好きなことをして暮らしているからなのかなぁ・・・羨ましい!

ところで、このお店ではグルテンフリーの米粉菓子を作って販売しているのですが、以前は小麦で作っていたらしいのです。ところが奥さんが小麦粉アレルギーで体調を崩したことから、きっぱりと止めたらしいのです。

そして、そこから米粉を使ったお菓子作りを始めたのですが、こだわりっぷりがすごいんです。そして、不器用ながらもとても強い情熱を感じるんですよね・・・何でしょうこの魅力は。Webサイトからその熱いコメントを引用。(長いです。)

米粉でパンを焼いてみれば、という考えは当初はまったくといってよいほどありませんでした。長時間発酵させて酵母と菌のつくり出す有機酸の香りと糖化されたでんぷんのメイラード反応がつくるクラストの香ばしさ、全粒粉の穀物臭と発酵した酸味の合わさった複雑な味、高水分の配合で透き通った網の目のスポンジようなクラム。人類史上もっとも偉大なる発明かもしれないこの小麦から作るパンに匹敵するようなものがグルテンなしの代替粉で作れるとは到底思えず、また実際に手に入るソルガムなどの雑穀粉(米粉ふくむ)でつくったものを食べてみても、おいしいといえるようなものに出会ったことはなく、ましては商品として販売できるものが作れるとは思ってもいませんでした。

正直にいって、「小麦粉が食べられないかわいそうなアレルギーと持つ人たちのためにわざわざ作ったものだから少々おいしくなくても食べられるだけでいいよね」という恐ろしい雰囲気を持つようなものは、絶対につくりたくない。こんな感じでしたので。

技術が全て?「米粉」

そういうわけで、当初はグルテンフリーの「パンを含む焼き菓子など」の生産は考えていなかったのですが、ものは試しということで使ってみた最新の製粉技術を使った「洋菓子・パン向き」と言われる微細粉米粉でできあがったものを食べてみて仰天。考えが変わりました。

吸水の仕方、でんぷんの甘み、食感、全てがまったく違う。同じ「米」が材料ではあっても、「米粉」というものが製粉の仕方によってまったく違うものになるということは、後に製粉会社の方と話す機会があったときにも再確認できました。今までにスコーンやクッキーのようなもの自体をそこまでつくったことがなかったけれど、逆に先入観なしで取り組むことができると強引にポジティブ思考で試作を続け、「これは意外においしいね」から「うん、ウマイ!イケるんちゃう!」に変わることになったのは、現在使用可能になった米粉のポテンシャルの高さのおかげかなと。
製粉の差、品種の差もあるし、もちろん米の栽培技術もある。それに加工技術が加わる。
健康的なだけでもおいしいだけでもない。
これはおもしろい。

小麦を使わないことと米粉を使うこと

原点はどこにあるか。
小麦を使わないというのは出発点。小麦を使わないパンや焼き菓子を作る、というのが出発点ではないということが一つ。別にといってしまうのは何ですが、米粉でなくても菓子でなくてもよかったのです。オムレツ屋でもよかったし、ソーセージ屋でもよかったし。本当につくりたいものは、と聞かれたら燻製屋だったかもしれないです。究極のスモーク鮎を目指すなんてのもありだったかもしれない。
でもそうはならなかったのは、今までの積み重ねがあったから。

毎年少しずつ田んぼも増えてきた。パンの種類だって開店当初とは比べものにならないくらいよいものが沢山できるようになっていた。今ある自分というのは、過去の自分と自分を支えてくれたその他大勢の人たちと今までやってきたことの積み重ねの結果であるということ。それに感謝しないわけにはいかない。その感謝の表し方の一つとしての、米粉のベーカリーになる、という選択だったわけです。

それで2013年はそれでもパンのような食事系の焼き菓子がつくりたくて、スコーンとかケークサレとか作っていました。野菜とか地鶏肉とかいれたりいろいろやってました。結構値段も高い粉チーズいっぱい入れたりして、味の方はとにかく評判よかったのですが、やはりパンというものの歴史の長さというか、直接比べてはいけないのですが、思ったように売上があがらずに、作るのがまた苦しくなってきました。あれこれなんでも作るので手間ばっかりかかってしまうのです。つまり凝り過ぎなのだ...焼き菓子にかぎらず農業にしても同じで、米も豆も野菜も畑も鶏もあれやこれやとやりつつ、これ!という決め手がないままズルズルと...

それで2013年の秋、唯一売上も上がっていた岡山各地のイベント販売が、立て続けに週末狙い撃ちのように襲った台風の影響もあってがたがた。農作業の遅れやイノシシの被害などもかぶさり、これをきっかけに「何かにしぼらなければ」という意識が強まりました。今更何いってんのと言われそうな36歳の秋...

いろいろと考えた末、たどり着いたのがここです。

「米」と「鶏」 それから「ブラウニー」 でした。

ブラウニー、パン屋のときから小麦粉で作ってました。アメリカでは普通に家庭で焼いたりします。嫁さんの大のお気に入り。その時も好きだから作ってて、いわばサービス品みたいな形でつくってました。とにかく美味しいので、その後抹茶マーブルだとかあれこれ真剣に売り出そうと考えたこともありました(いろいろあってやめましたが)。それで米粉でやろうと決めたときも今までより美味しくなかったら作っても意味ないしな〜みたいな感じでした。

ところが!!少し配合の調整が必要でしたが、この米粉でつくってみたブラウニー、正直言いまして、おいしくて仰天!おいしい〜〜!それまでの米粉もどき、雑穀粉などはなんだったんだと思うほどの違い。粉の甘みがあって、べたつきが少なく、しっとり感がある。食べたときにふわーっと来る強烈なカカオの香りはそのままで、粗製糖の優しくて素朴な甘みと合って、しつこくない軽い食感に仕上がっているのです。

味はいいし、人気もある。これならいける、思い出のブラウニーをやろうと。

となると材料は米粉の次に卵だ。

よし、養鶏をもうちょっとしっかりやってみよう。

全ての生きものに結びつく循環農業の象徴でもある鶏、しかも放飼いで、卵も肉も使って、エサも自給したり、ゴミになっているようなものを集めてきたりして、周りにあふれかえっている「いらないもの=食品廃棄物や副産物」を集めて、命そのものともいえる「卵」それと「肉」もしっかりと生産して、その場所で、人が本来生きたいであろう仕事ーものをつくったり、生きものとのふれあいがあったり、自然と持ちつ持たれつだったりーそういう場所にしようと。

目指すのは...

魚のアラ、パン屑などの余剰食品やおからなどの副産物を回収して、人間の食べないところをエサとして有効利用したローコストで高品質の食品循環飼料。そして集めた「食品廃棄物」で虫に増やすミミズコンポストやハエの幼虫を使った究極の「循環養鶏」で、生きたエサと土の肥やしを同時につくります。

そして一番大事なことが、世話をしている農家のことです。鶏の世話が楽しくて仕方がない、鶏を見ているだけで心がホッとする、そんな養鶏を目指しています。なぜなら飼育している人が幸せになれる養鶏なら、鶏も幸せだろうから。そういうところで採れる卵は食べる人も幸せにしてくれるだろうから。

これはファンになりますよ。私も思わず買ってしまいましたからねw。ちなみにこのコロサクもこだわりが詰まった激ウマな一品。コーヒーとの相性が良すぎて止まりません!もっと買っておけば良かった・・・。

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本当に素敵なお店なので、ぜひ一度Webサイトをチェックしてみて下さいね。オンラインショップでお菓子も買えるのでこちらもどうぞ。

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