人生は退屈で美しいものーー小説「世界から猫が消えたなら」がそう教えてくれた。

「自分にとって、本当に大切なものは何か」ーーそう自身に問いかけて、すぐに答えが出てくる人はあまりいないのではないでしょうか。なぜなら、本当に大切なものほど、失って初めてそのことに気がつくことが多いから。

私がふと手にした「世界から猫が消えたなら」という本に登場する主人公も、その一人でした。そこに突然医者より告げられた余命宣告。これがキッカケで彼の生き方は大きく変わり、本当に大切なものを見つけていくことになるのです。

本作の著者は「君の名は。」プロデューサーとして有名な川村元気氏。この映画も名作ですが、本作もそれに負けじと劣らない名作です。私自身が読んで「刺さった」文章をいくつかピックアップしてみるので、ぜひ参考にして欲しい。

相手を「想う」時間の大切さ

No.602「僕らは、電話ができることで、すぐつながる便利さを手に入れたが、それと引き換えに相手のことを考えたり想像したりする時間を失っていった。電話が僕らから、想いをためる時間を奪い、蒸発されていったのだ。」

No.663「プレゼントは、物”そのもの”に意味があるのではなく、選んでいるとき、相手が喜ぶ顔を想像する”その時間”に意味があるのと同じように。」

今の時代、インターネットやSNSを使うことで、誰とでも一瞬で繋がることができる。本当に便利になった。だけど、そのやり取りに「相手への想い」はどれだけ込められているだろう。

プレゼントも当たり前のようにネットで買うようになった。おすすめ商品もシステムの方から提案してくれるので、悩むことも少なくなった。でも、その分の時間を「相手のため」に使えているだろうか。

本当に「大切なこと」は何か

No.1164「僕が生きてきたこの三十年間、果たして本当に大切なことをやってきたのか。本当に会いたい人に会い、大切な人に大切な言葉を伝えてきたのか。」

No.1164「目の前のことに追われれば追われるほど、本当に大切なことをする時間は失われていく。そして恐ろしいことに、その大切な時間が失われていることにまったく気付かないのだ。」

改めて文字で見ることで「ハッ」と思った人も多いはず。私もこの文章を読むまでは、そのことを意識すらしたことがありませんでした。自分の大切な人生なのに。

本作の主人公とまでは言わなくても、例えば「自分の人生があと一年だったら」と仮定して、自分にとって何が本当に大切なのかを立ち止まって考えてみる必要があるのかもしれない。

最後に

私自身、この作品を読むことでどう変わったか。これからの人生が大きく変わるかどうかは分からないけれど、少なくとも「自分の人生にとって大切なものは何か」に対する意識は大きく変わった。

これから過ごす毎日を、少しでも大切な人と少しでも長く、そして楽しく生きていきたい。それこそが本当に素敵な人生なんだと心の底から思うようになった。

最後にもう一つだけ文章を紹介して終わりたいと思う。このメッセージに何か感じる人は、ぜひ読んでみて欲しい。大切な気付きが得られるはず。

No.1692「あなたは最後の最後で、大切な人や、かけがえのないものに気付き、この世界で生きていることの素晴らしさを知った。自分の生きている世界を一周まわってみて、あらためて見る世界はたとえ退屈な日常であったとしても、十二分に美しいということに気づいたんです。」

小説だけでなく、映画もBlu-rayとDVDで発売されています。映画版は小説にはない話も追加されているようなので、好みはあるかもしれないけれど、両方を比べてみると面白いかもしれません。

20161030_sekaneko

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